ベニテング
2005年 08月 18日
今から何年も前。学生の頃、僕が行きつけの飲食店で、
同じく常連にキノコ採りが得意なヤツがいました。
その人は様々な旬のキノコを採ってきては
お店に持ってきていました。
ある日、僕はマスターに言われました。
マ:「( ̄▽ ̄)DiOくん、ベニテング食べてみない?」
僕:「(゚Д゚;) ベニテング!?」
名前からして怪しいそのキノコ。
お察しの通り、ベニテングダケは『毒キノコ』であります。
例のキノコ採りの人が他の普通のキノコと一緒に
ついでに採ってきたんですって。
僕:「(゚Д゚;) ど、毒キノコですよね!?食べられるんですか!?」
マ:「( ̄▽ ̄)うん。幻覚作用があるんだよ。前に僕は何度か
食べたことあるんだけどおいしいんだ。」
こんな機会はたぶん一生のうちでも今回だけでしょう。
そう考えて食べてみることにしました。
食べてみたいという物好きな常連が
他にも数人集まりました。
そのまま焼いてもいいそうなんですが、
その時はカレーの具にすることにしました。
マスターが料理をしている間、
待っている常連たちはキノコ採りの人が持ってきた
キノコの本を読んでいました。
どれどれ、ベ…ニ…テング…っと。
『症状は食べて15~30 分で発症。酒に酔ったような興奮状態になり,
瞳孔散大、精神錯乱、幻覚 等の症状が起きる場合がある。』
(゚Д゚;) ぉおー!やっぱり幻覚作用ですってよ!
しかしそれに続く記載を見て、集まった常連たちは固まりました。
『…嘔吐など症状を起こす。まれに死亡することもある。』
(゚Д゚;) ・・・。
( ̄Д ̄;)ェエぇえええ───!?
死亡!?マズイ!そりゃマズイって!!
そうこう言ってるうちにカレーができました。
マ:「( ̄▽ ̄)大丈夫だって!僕何度も食べてるって言ったろ?」
僕:「(゚Д゚;) えぇ、まあ…。」
マ:「( ̄▽ ̄)僕が前に食べたときはね、ピンクの象が見えたよ。」
僕:「(゚Д゚;) ピ、ピンクの象!?」
マ:「( ̄▽ ̄)ちっちゃなピンクの象がさ、何匹も列を作って
畳と畳の間の隙間に入っていったの。」
(゚Д゚;) シュ、シュール!!
象がピンクで畳の隙間に入っていくなんてどんな映像なんでしょう。
これぞまさに幻覚。
僕にもそんなシュールな世界が見えるのでしょうか?
勇気を出して食べてみることにしました。
(゚Д゚;) ウ、ウマイ。
何に似てるというのはうまく表現できませんが、
味はうまいキノコでした。
食べてるときは痺れるとかそんなこともなく、
とてもそんな症状を引き起こすキノコには思えません。
食べ終わって30分くらいしたあと、
段々と電気の灯りがまぶしくなってきました。
なるほど、『瞳孔散大』の症状が出ているようです。
ってことはそろそろ幻覚が見えても良い頃です。
マ:「( ̄▽ ̄)楽しい気分にならないとダメだよ。
不安に思っているとバッドトリップして具合が悪くなるよ。」
しかし、マスター以外のそこにいる者の頭には
先ほど見た『まれに死亡』の文字が浮かんでいました。
すると、一人がおもむろに立ち上がり、
「(-_-;)ダメだ…気持ち悪い。吐いてくる…。」
と言ってトイレに行きました。
トイレからは苦しみの嗚咽が聞こえてきます。
こうなるともう不安しか頭には浮かびません。
また一人、また一人とトイレへ駆け込みます。
僕ももはや不安に捕らわれて幻覚どころではありません。
バッドトリップ路線まっしぐら。
ついに僕も吐いてしまいました。
マ:「( ̄▽ ̄)みんなダメだなぁ…。気持ちよくなんなきゃ。」
結局吐かなかったのはマスターのみ。
幻覚こそ見えなかったようですが、
そこそこ気持ちよかったようです。
あー、でも僕はもう二度と食べたくない…。(-_-;)
いいですか、みなさん。
ベニテングダケは毒キノコです。
信州にはベニテングを食べる地方があるそうですが、
素人は真似しない方がいいですよ。
真似して食べて事故・病症があっても何の苦情も
受け付けませんのであくまで自己責任でお願いします。