父さんとふたりで その2
2006年 03月 17日
忘れられない父さんとの旅。
これも“旅”というものでもないです。
というのも、僕は大学に入る前浪人をしています。
そのときに札幌の予備校に通うべく寮に入ったことがあります。
僕にとっては初めて親元から離れて暮らした経験です。
あれも確か夏の日。
いつも仕事で忙しい父さんが、
なぜかひとりだけで札幌へ僕の顔を見に来ました。
親元を離れてひとりで勉強する、という環境を
やはり心配してくれていたのだと思います。
その日は寮に外泊届を出して父さんと泊まりました。
札幌市内の某ホテルです。
その日は外で食事をしました。
しばらく寮でのおいしいとは言いにくいご飯ばかりだった僕には
ものすごいごちそうだった気がします。
二人で大浴場に入って話もしました。
部屋は二人別々に取っていたのですが、
夜中に父さんが枕を持って僕の部屋に一緒に寝よう、とやってきました。
次の日、父さんが帰ります。
札幌駅から電車に乗って空港へ。
僕は札幌駅の隣の駅まで乗ります。
父さんの行く空港方面とは逆方向です。
僕の方が電車が早く来たので、電車に乗りました。
電車の中とホームの側で、開いた扉をはさんで向かい合います。
父:「身体に気をつけてな。」
僕:「うん。」
何だか胸がいっぱいで何を話していいかわかりません。
父さんも同じ気持ちだったのでしょうか。
父さんも口数が少なくてただ二人で向かい合ってるだけ。
プルルルルルル…
電車が出ます。
すると父さんがひとこと。
父:「…がんばれ。」
扉が閉まります。
動き出す電車。
少し寂しげに父さんが微笑んでいます。
その姿は徐々に離れていき、見えなくなっていきます。
僕はそのまま外をぼぅっと見ていました。
なぜだか涙が出てきました。
寂しいのか。(家族からひとり離れて。)
情けないのか。(今の浪人という環境が。)
ありがたいのか。(予備校はお金がかかりますよ。寮ですし。)
いろんなキモチが入り混じってとにかく泣きました。電車の中で。
そんなキレイな思い出。
…だと僕はずっと思っていたんですが、実は裏で別な事情があったのです。
大学を卒業して地元で就職して実家へ帰ってきた僕は、
ある時、今の話を父さんにしてみたのです。
すると、父さんは
父:「あー、あん時な。枕持っておまえの部屋に行ったろう?」
僕:「うんうん。」
父:「実はな、部屋でさ。…見たんだよ。」
僕:「(゚Д゚;) え?」
父:「 見たの。 」
僕:「(゚Д゚;) ぇえ!?」
父:「いやサ、寝ようと思って電気消すだろ。
そしたら何か寝苦しいのサ。
ふとベッドの横を見るとな、座ってるんだよ。
ちょっと離れて女の人らしきモノが。
髪が長くて顔にかぶさっててよく見えないの。
おかしい、と思ってそばにあるメガネをつかもうとするんだけど
なぜだかつかめない。メガネに届かないんだ。
何とか電気を点けてみると、誰もいない。
やっぱり気のせいかと思って電気を消すとな、いるんだ。そこに。
何度やっても現れてすごい怖くてな。
お前の部屋に行ったんだよ。」
僕:「だって、あの時何も言わなかったじゃん!」
父:「いやぁ、だってお前一人で寮にいるだろ。
怖がらせたらいけないと思ってさ。黙ってた。」
(゚Д゚;) かわいい息子と寝たかったわけじゃなかったのかYO!
ちなみに父さんは霊感ゼロのひと。
後にも先にもこの類の体験はこれだけだそうな。
それにしてもこの話を聞いたら、
途端に僕のキレイな思い出がひとつ崩れました。(笑)
余談ですが、母さんが言うには、ときどき父さんは夜に突然うなされて
いきなりお経を唱えだしたりするそうな。
父:「( ̄▽ ̄)いやぁ、ばぁ様にな。寝てるときに怖い目にあったら
お経を唱えろって言われたからな。きっとそうなんだろ。」
父さんは起きるとそのことを全く覚えていないそうですが、
きっとその時は夢の中(?)で何かしら怖い目にあってるんでしょうな。(笑)

